2020年 4月 30日 (2024年 10月 31日 更新)
傘の撥水機能を復活させる方法
私たち、槙田商店の職人たちは、毎日傘を作り続けています。自分たちが作っているからこそ知っている「良い傘を長くご愛用いただくためのコツ」として、今回は撥水機能を復活させる方法についてお伝えします。ぜひ参考になれば幸いです!
「撥水」加工では多くの場合、フッ素を用いて、傘に撥水性をもたせます。要は、生地に水が付いた時に水滴になってコロコロ転がる状態にすることです。フッ素には、蓮の葉効果※と同じような機能があり、繊維が水に濡れるのを防ぐのです。(※蓮の葉は、無数の突起微細構造と水の表面張力により、水を水滴化して濡れることを防ぎます。とても細かい大量の突起で水滴を支えているイメージですね) (使用生地:kirie ドットフラワー アメジスト)
こんな感じ、コロコロ
一方の「防水」加工は、多くはアクリル樹脂を用いて、生地の裏面に薄くコーティングすることで織目の目止めをします。こちらは、織り目による細かい隙間を、樹脂で埋めるイメージです。先染めの織組織(織り方のことです)を活かした織物というのは、織り目が複雑だったり、凹凸があったりします。この織物に対して綺麗に平らなコーティングをかけるというのは、実はとても難易度が高い作業なのですが、それをいとも簡単にやってのけるこの産地の整理屋さん※の技術は、本当に素晴らしいのです。(※生地の後加工屋さんのこと。生地を綺麗にしたり、後加工をする事を「整理」と呼びます。)
実は、使用後のお手入れによって、撥水機能を長持ちさせることができます。
まずは、傘の表面についた雨を水で流せればよいので、例えばお風呂でシャワーを使っても、お庭でホースを使っても、やりやすい方法で大丈夫です。ペットボトルで代用も○。
洗い流したあとは、水を切って、しっかりと乾燥させます。直射日光があたる場所での乾燥は、劣化や褪色の原因になってしまいますので、乾かすときには必ず陰干しにしてください。また、傘の内側に水滴が残ってしまうと、これもサビや劣化に繋がりますので、広げた状態で、傘の表面を上にして乾かしてくださいね!
これが最も基本的かつ効果がある、日々のお手入れ方法になります。
傘を使うたびにこの方法を実践している、という方のお話によると、やはり傘の撥水効果が長く持続しているそうですよ!
広範囲の汚れに対しては、ご自身でされる場合、薄めた中性洗剤を泡立てて、大きなスポンジでたたき洗いをする方法が考えられます。その後の水での洗い流し、陰干し乾燥は共通です。
槙田商店の製品傘であれば、修理対応として、該当箇所の生地の張り替えも可能ですので、お気軽にご相談くださいね。(※傘生地の在庫がある場合のみ)
▶傘の洗い方やお手入れの仕方については「傘の丁寧なお手入れ方法」にて詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください!
この対処方法が、「フッ素の撥水加工に熱をかけること」です。熱を与えると、100%とまではいきませんが、感覚的には70%ぐらいの状態に復活してくれるのではないかと思います。なお、使用している状態や年数によって一概には言えませんので、あくまで目安としてご了承下さい。
撥水復活方法をご紹介しましたが、まずはお手軽なドライヤーからお試しいただくのが良いと思いますが、いずれの方法を取る場合も、お客さまの自己判断でお願いいたします。
基本的には、使用後の水洗いと陰干しといった、日々のお手入れをこまめにしていただくことが、最も効果的かつ傘への負担も少なく済みますので、ぜひお試しください。
濡れた傘をキレイにたたもうとして、雑巾を絞るように手でギュッとまとめて閉じてしまう場合があると思います。しかし、その行為で撥水効果が非常に悪くなってしまうのです。 これは傘生地屋として今まで生地で色々と試験をした経験則ですが、たとえ同じ生地であったとしても、乾いてる時の摩擦では何ともないのに、濡れた時に人の手でこすると撥水がとても悪くなってしまいます。人の手の脂分が、何らかの影響を与えているのかもしれません。ただし、ハンドクリームを塗ったあとなど、特に手に油分が多いときには、傘生地が乾いていても注意が必要です。
濡れた傘をたたむときは、ネームバンド(大抵の傘に付いている、傘をたたむ際に生地をまとめるホックやボタンつきの紐のこと)を持って、グルッとまとめるだけでOKです。そしてオフィスや家に帰った際に陰干しをして、水分をきちんと飛ばしてからたたんでください。こうすることで、撥水効果を長持ちさせることに繋がります。このまとめ方で濡れたまま放置してしまうと、変なシワが入ってしまったり、変な臭いがしたりするので、その点は注意が必要です。あくまで一時的なまとめ方として、ご活用くださいね。
また、お気に入りの靴と同じように、傘も何本かでローテーションをしてお使いいただきますと、それぞれの傘への負担が減りますので、長くご愛用いただけます。その都度、さまざまなお好きな色柄の傘をお選びになるのはもちろん、お気に入りのデザインを色違いで揃えたり、ご自分のお肌の色に合ったカラーの傘で揃えるのもおすすめです。
その日の気分や用途によって、お気に入りの傘を使い分けていただくことで、傘の物持ちにも繋がりますし、気分も上向きに過ごすことができます◎。
いかがでしたか?
愛着のある傘を、長く健康に使っていただければ幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
お気に入りの傘を長く大切に使う。とても素敵なことですよね。
槙田商店では、婦人傘、紳士傘ともに豊富な種類をご用意しております。当店の傘を対象に、修理も承っておりますので「一生ものの傘」をぜひ見つけてみませんか?
▼「婦人長傘一覧」はこちらからご覧いただけます。「婦人折りたたみ傘一覧」もご用意しております。
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雨の日でも身だしなみは大切ですよね。スーツ姿にもぴったりな、「ビジネスシーンにおすすめの傘」をご紹介しています。
傘生地に施された2種類の加工 ~撥水と防水~
前提として、傘生地には一般的に「撥水」と「防水」加工が施されています(ビニール傘は除きます)。防水と撥水は間違えやすいので、まずはその説明から始めていきます。「撥水」加工では多くの場合、フッ素を用いて、傘に撥水性をもたせます。要は、生地に水が付いた時に水滴になってコロコロ転がる状態にすることです。フッ素には、蓮の葉効果※と同じような機能があり、繊維が水に濡れるのを防ぐのです。(※蓮の葉は、無数の突起微細構造と水の表面張力により、水を水滴化して濡れることを防ぎます。とても細かい大量の突起で水滴を支えているイメージですね) (使用生地:kirie ドットフラワー アメジスト)
こんな感じ、コロコロ
一方の「防水」加工は、多くはアクリル樹脂を用いて、生地の裏面に薄くコーティングすることで織目の目止めをします。こちらは、織り目による細かい隙間を、樹脂で埋めるイメージです。先染めの織組織(織り方のことです)を活かした織物というのは、織り目が複雑だったり、凹凸があったりします。この織物に対して綺麗に平らなコーティングをかけるというのは、実はとても難易度が高い作業なのですが、それをいとも簡単にやってのけるこの産地の整理屋さん※の技術は、本当に素晴らしいのです。(※生地の後加工屋さんのこと。生地を綺麗にしたり、後加工をする事を「整理」と呼びます。)
撥水機能を長持ちさせる日々のお手入れ
みなさんは、雨の日に傘を使ったあと、どうされていますか?実は、使用後のお手入れによって、撥水機能を長持ちさせることができます。
傘のお手入れ① 水洗いと陰干し
撥水効果が長く続くお手入れ方法とは、ずばり「雨を水で洗い流し、しっかりと乾燥させること」。雨には化学物質や汚れが混じっているため、これを洗い流し、なるべく綺麗な状態を保つことで、撥水効果が持続すると考えられます。まずは、傘の表面についた雨を水で流せればよいので、例えばお風呂でシャワーを使っても、お庭でホースを使っても、やりやすい方法で大丈夫です。ペットボトルで代用も○。
洗い流したあとは、水を切って、しっかりと乾燥させます。直射日光があたる場所での乾燥は、劣化や褪色の原因になってしまいますので、乾かすときには必ず陰干しにしてください。また、傘の内側に水滴が残ってしまうと、これもサビや劣化に繋がりますので、広げた状態で、傘の表面を上にして乾かしてくださいね!
これが最も基本的かつ効果がある、日々のお手入れ方法になります。
傘を使うたびにこの方法を実践している、という方のお話によると、やはり傘の撥水効果が長く持続しているそうですよ!
傘のお手入れ② 汚れ落とし
もしも、目視できる汚れが付いてしまったら、スポンジ(タオルやさらしでも可)などに、薄めた中性洗剤をつけて、たたき洗いをしてください。こすってしまうと逆効果になる場合がありますので、注意が必要です。その後は、しっかりと洗い流し、陰干しで乾燥させてください。なお、部分的な汚れの落とし方ですので、ちょっとした汚れのときにお試しください。広範囲の汚れに対しては、ご自身でされる場合、薄めた中性洗剤を泡立てて、大きなスポンジでたたき洗いをする方法が考えられます。その後の水での洗い流し、陰干し乾燥は共通です。
槙田商店の製品傘であれば、修理対応として、該当箇所の生地の張り替えも可能ですので、お気軽にご相談くださいね。(※傘生地の在庫がある場合のみ)
▶傘の洗い方やお手入れの仕方については「傘の丁寧なお手入れ方法」にて詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください!
撥水機能を復活させる3つの方法
では、生地の水弾きが悪くなったと感じた場合には、どうしたらよいのでしょうか?実は、撥水加工そのものが落ちたわけではありません。上に書いたような「蓮の葉効果の突起物」が寝た状態になってしまっているのです。この対処方法が、「フッ素の撥水加工に熱をかけること」です。熱を与えると、100%とまではいきませんが、感覚的には70%ぐらいの状態に復活してくれるのではないかと思います。なお、使用している状態や年数によって一概には言えませんので、あくまで目安としてご了承下さい。
復活方法① ドライヤーを使う
まずはお手軽に試していただける、ドライヤーがおすすめです。生地から5cmほど離して、熱が行き渡るように、傘の表側にじっくりかけていただくとよいと思います。何分間ドライヤーをかければOK、という試験データを出していないので具体的な数値は申し上げられないのですが、とくに三角形の中心ライン(折りたたみ線の部分)や、傘骨に沿った部分は、よくかけていただけるとベターです。一方で、熱をかけ過ぎてしまうと、骨や生地の劣化に繋がってしまいますので、その点は注意が必要です。復活方法② アイロンを使う
槙田商店で使うのは、アイロンです。写真は、仕上げのシワ取りの様子ですが、作業がしやすいよう、内側に熱を与えていきます。化繊で使用できる温度にセットし、小間(コマ・三角形の生地)ごとにアイロンをかけてください。温度が高すぎたりすると、熱で溶けてしまいますのでご注意ください!復活方法③ スプレーを使う
撥水機能の復活方法として、イメージされる方も多くいらっしゃると思います。槙田商店としては、長く使ってきた傘(ドライヤーやアイロンでも効果が薄い傘)に対して行うもので、いわゆる“最終手段”となります。熱を与える方法をお試しになっていない場合は、まずそちらからお試しいただくことをおすすめします。もしご自身で使用される場合には、換気やマスク着用など、使用環境に十分注意しながら行ってください。スプレーをする際は、事前に目立たないところで、シミにならないか確認しておくと良いでしょう。目安としては、傘生地全体が濡れるまで噴霧します。シミの原因になるため、溜まってしまう余分な液は拭き取り、その後はしっかりと陰干しで乾燥させてください。撥水復活方法をご紹介しましたが、まずはお手軽なドライヤーからお試しいただくのが良いと思いますが、いずれの方法を取る場合も、お客さまの自己判断でお願いいたします。
基本的には、使用後の水洗いと陰干しといった、日々のお手入れをこまめにしていただくことが、最も効果的かつ傘への負担も少なく済みますので、ぜひお試しください。
織物の傘を長く愛用するコツ
ここからは傘生地屋として、あまり知られていないであろう注意点をお伝えします。それは「雨に濡れた生地には、極力触れないようにする」というもの。理由は、濡れた生地を手でこすると、撥水性が著しく低下してしまうからです。濡れた傘をキレイにたたもうとして、雑巾を絞るように手でギュッとまとめて閉じてしまう場合があると思います。しかし、その行為で撥水効果が非常に悪くなってしまうのです。 これは傘生地屋として今まで生地で色々と試験をした経験則ですが、たとえ同じ生地であったとしても、乾いてる時の摩擦では何ともないのに、濡れた時に人の手でこすると撥水がとても悪くなってしまいます。人の手の脂分が、何らかの影響を与えているのかもしれません。ただし、ハンドクリームを塗ったあとなど、特に手に油分が多いときには、傘生地が乾いていても注意が必要です。
濡れた傘をたたむときは、ネームバンド(大抵の傘に付いている、傘をたたむ際に生地をまとめるホックやボタンつきの紐のこと)を持って、グルッとまとめるだけでOKです。そしてオフィスや家に帰った際に陰干しをして、水分をきちんと飛ばしてからたたんでください。こうすることで、撥水効果を長持ちさせることに繋がります。このまとめ方で濡れたまま放置してしまうと、変なシワが入ってしまったり、変な臭いがしたりするので、その点は注意が必要です。あくまで一時的なまとめ方として、ご活用くださいね。
また、お気に入りの靴と同じように、傘も何本かでローテーションをしてお使いいただきますと、それぞれの傘への負担が減りますので、長くご愛用いただけます。その都度、さまざまなお好きな色柄の傘をお選びになるのはもちろん、お気に入りのデザインを色違いで揃えたり、ご自分のお肌の色に合ったカラーの傘で揃えるのもおすすめです。
その日の気分や用途によって、お気に入りの傘を使い分けていただくことで、傘の物持ちにも繋がりますし、気分も上向きに過ごすことができます◎。
いかがでしたか?
愛着のある傘を、長く健康に使っていただければ幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
お気に入りの傘を長く大切に使う。とても素敵なことですよね。
槙田商店では、婦人傘、紳士傘ともに豊富な種類をご用意しております。当店の傘を対象に、修理も承っておりますので「一生ものの傘」をぜひ見つけてみませんか?
▼「婦人長傘一覧」はこちらからご覧いただけます。「婦人折りたたみ傘一覧」もご用意しております。
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