傘の柄など傘の部位の名称を解説
傘はさまざまなパーツが組み合わさって作られています。それぞれの名称と役割、取り扱いの注意点などをご紹介していきます。名称がわかれば、修理のときにスムーズですし、取り扱い方法を知っているとより長くご愛用いただけますので、ぜひ参考にしてくださいね。
この2種類の骨が接している部位を「ダボ」といい、ここに使用される布は一般的に「ダボ包み」と呼ばれることが多いそうです。この布は傘に張られている生地と、骨の間に入ることによって、クッションのような役割を果たします。この小さなパーツも、実は職人たちの手作り。その様子は、傘作りを紹介したコラム「織物傘の組み立てvol.7特別篇~キズコマと付属~」からご覧いただけます。
「かさの“え”」あるいは「かさの“がら”」と読む人が多いのではないでしょうか。「え」には、手で持つために付けた細長い部分、棒状の部分という意味があるそうです。「かさの“え”」というときには、持ち手のことを指しますので、まさにその通りですね。「がら」の場合は、もちろん模様を意味しています。
この持ち手部分には、ほかにも「持ち手」「手元(てもと)」「ハンドル」など、様々な呼び方があります。通常、槙田商店では、「手元」と呼んでおりますが、「柄(え)」と呼ぶ方も多くいらっしゃると思います。そのため、このページでは「傘の柄(え)」と表記し、「がら=デザイン」としてご説明させていただきます。
【木製の柄】 みなさんが「傘の柄」としてまず思い浮かべるのは、木製のものではないでしょうか。代表的なのが「もみじ」「カエデ」です。この2つは同じ部類の木材なのですが、その特徴は何といっても木肌の美しさです。木目が目立たず、色合いも白いので、よりなめらかな印象に◎。槙田商店でも多くの傘で使用しており、生地の色合いをそっと引き立ててくれます。
左の「1866(イチハチロクロク)」の柄はもみじから、右の「菜-sai-」はカエデから作られています。いずれも、シリーズのコンセプトに合わせた、槙田商店オリジナルの傘の柄です。
1866は、内側にも生地を張り、傘骨が見えないようにする「蛙張り(かわずばり)」という伝統技法が用いられています。槙田商店の創業年の名を冠した、上品かつ特別な高級傘となっています。それに相応しい傘の柄にするべく、長さのある、すらっとした美しいフォルムに。傘生地とのバランスを考え、カラーも黒とそのままの色合いの2色あり、“貴婦人の立ち姿”をイメージして作られています。
菜は、野菜をモチーフに作られた日傘です。こちらは、野菜の収穫に欠かせない、農具たちをイメージしています。やさしい色合いと滑らかなフォルムのなかで、より農具らしさを加える紐がアクセントとなり、全体の統一感アップに繋がっています。
「ブナ合板」も強度が高く、多く使用している素材のひとつ。こちらも木目が綺麗に見える素材です。木製の場合は、そのままの色合いで使用したり、傘のイメージによっては黒系や茶系に染めたりすることもあります。いずれも、木の持つあたたかみを感じることができます。経年変化による色合いの変化も、ぜひお楽しみください。 同じブナ合板からできた傘の柄ですが、婦人傘と紳士傘での大きさの違いや、色の違いわかりやすいですね。左の紳士傘「MAKITA STANDARD」は、シンプルながら重厚感や上質さを味わえる傘となっており、こげ茶色の傘の柄は、その印象に寄り添いながら、全体の上品さを底上げしてくれます。右の婦人傘「Riff」は、すっきりとした鮮やかな色合いと内側に広がるストライプが特徴的で、木目の綺麗なやさしい雰囲気の柄を使うことで、傘生地の美しさを引き立ててくれます。
【寒竹の柄】 寒竹の柄は、織物の傘が持つ高級感やおしゃれさを、よりいっそう引き立ててくれます。天然素材なので、太さなど個体差がありますが、それもひとつの味としてぜひお楽しみください。寒竹も、使うなかで経年変化し、その色合いを変えていきますので、いっそう“自分だけの特別な傘”となってくれることでしょう。
槙田商店を代表する人気シリーズのひとつ「kirie」には、寒竹を採用しました。クラシカルな雰囲気も併せ持つ寒竹は、バリエーションの豊富な「kirie」との相性も抜群です。どのデザインやカラーにも馴染み、傘生地との相乗効果を発揮します。また、寒竹で揃えた石突(いしづき/地面に接する先端の部位)もこだわりポイント。より優美な印象を与えてくれます。
【合皮の柄】 合皮は、そのバリエーションの豊富さが特徴です。鮮やかな単色のものや、デザイン性のあるもの、タッセル(房)付きのものなど、実はさまざまなタイプがあります。色合いが豊かなので、その分、傘生地とのバランスやイメージを大切にしています。均一に巻かれた合皮は手馴染みがよく、品質の高さを感じていただけます。アクセントの役割や、高級感や統一感を高める効果なども発揮してくれます。
【生地巻きの柄】 オリジナルの傘の柄の中でも、特に“槙田商店ならでは”を感じられるのが「絵おり 桜」です。傘に広がる可憐な桜たちが魅力的な婦人傘。この傘の柄には、小さな桜が織り描かれた傘生地を使用しています。美しく巻かれた桜の生地は、高級感、特別感をいっそう高めながら、職人たちの技やこだわりも味わうことができます。
雨傘として使用後は、日陰に干してよく乾かしてください。保管するときには、直射日光や高温になる場所(特に夏場の車内)を避けてください。湿気が残った状態、直射日光や高温などの状況下は、劣化や破損に繋がってしまうのでご注意ください。これらの保管方法や注意点はどの素材であっても、基本的には共通です。
その中でも「寒竹」「籐」は、伸びやすい(もとの形にも戻ろうとする)ので、しっかりと乾かしてくださいね。また、玄関先の靴箱に引っかけておく、という方も多くいらっしゃるかもしれません。これも伸びてしまう原因になるので、注意が必要です。気になる方は、紐などでくくっておくと、比較的伸びにくくなりますよ。
【セロファンについて】 傘の柄についているセロファンは、剥がしてください。これは、配送時などのキズ防止のために巻かれております。そのままの状態でお使いになると、セロファンの内側に湿気がたまり、カビの発生など、劣化に繋がります。素材の手触りなどを味わっていただくためにも、ぜひ剥がしてお使いください。
「玉留め(たまどめ)」とは、露先をまとめるためのパーツです。主に紳士傘の手元に付いている金具のことで、上下に動きます。傘を閉じた状態で、玉留めに露先を入れると、一時的に傘をまとめることができる便利なパーツです。もともと上下に動く仕様ですので、ご安心してお使いください。
玉留めに対し、同じ位置にある金属パーツで、手元に固定されているものは「口金(くちがね)」といいます。こちらは婦人傘や、折りたたみ傘に付いている場合が多いです。傘のデザインのアクセントや、おしゃれとして、ぜひお楽しみくださいね。
▶傘の柄の取り付け方紹介コラムもぜひ併せてご覧ください。
最近では、安全ろくろ付きの傘も多く見かけます。これは、傘の開閉時に、指を挟まないようにするための部品です。押したままだと開きが留まらないので、傘を開くときには、写真のように指をずらして開くようにしてください。閉じるときも、押し続けないようにしてくださいね。
安全ろくろなしの手開きの傘は、閉じるときに指を挟まない心配ですよね。挟む原因となるのが「上はじきだけを押す」ことです。片方の手の親指と人差し指で、下ろくろを少し持ち上げ、中指の腹で上はじきを押します。そのまま、持ち上げていたろくろを下にスライドさせて閉じます。そうすると、指を挟まずに閉じることができますので、安全ろくろがない手開きの傘をお使いの方は、ぜひお試しください。
みなさんがイメージする傘の先端部分はAの木棒+金属かと思います。この先端側の金属部位が「石突き」になります。また、木棒の部分は「突先(とっさき)」と呼んでいます。Bも同様に、先端の金色の部分が石突き、黒い部分が突先になります。Cの寒竹は、このパーツのみで完結しているため、これを石突きとしています。
注意点として、使用後に水滴を切る際は、石突きを地面などに打ち付けないでください。ついつい、やってしまいがちですが、これは破損の原因になってしまいます。同じ理由で、杖代わりの使用もご遠慮ください。雨水を切るときは、下ろくろを持ち、軽く上下させて水滴を弾いてください。
一部の折りたたみ傘では、石突きがネジ式のタイプがあります。定期的に締め直していただけると、紛失防止にもなります。もしも紛失などしてしまった場合、石突きのみのパーツ購入が可能です。在庫状況によって、同じ石突きでない可能性がございますので、予めご了承ください。長傘の場合は、石突きと突先(中棒)が一体型になっているものが多いため、取り替えが必要となります。いずれの場合にも、紛失・破損の際にはお気軽にご連絡ください。
一方「菊座(きくざ)」は、外側から当てられた、輪っか状の小さくかわいらしい布パーツを指します。まず、菊座を突先(とっさき)に嵌め、そこに防水キャップと「陣笠(じんがさ)」という金属パーツを被せます。菊座はクッションの役割を果たし、陣笠は雨の侵入をブロックしてくれます。
もしも雨漏りをしてしまったら、各パーツの損傷などが考えられますので、修理をご依頼ください。
▶詳しくは「ご購入後の傘の修理について」をご覧ください。
▶より詳しい陣笠の付け方は「織物傘の組み立て vol.6 仕上げ」、天紙・菊座などの作り方は「織物傘の組み立て vol.7 特別篇~キズコマと付属~」からご覧いただけます。
ズレが気になる場合には、表面から目立たない部分に接着剤を付け、固定する方法もあります。反対に、タッセルが不要の方は、外してしまっても良いと思います。一部の傘の柄には、タッセルを通す穴がある場合もありますが、基本的にはそれぞれのお好みに合わせてお使いいただければと思います。在庫があれば、タッセルの購入も可能です。
この裁断作業で、最も重要なのが、木型になります。その傘に合ったコマを作るためには、それぞれに合った木型が必要になるからです。骨の長さや本数が違えば、当然違う三角形(コマ)になりますよね。さらに、例え同じ骨の長さ、本数の傘であったとしても、使う生地によって伸縮性などそれぞれに個性があります。これらを考慮したうえで、職人たちは木型を使い分けています。この木型も先代職人たちの手作り。まさに経験と努力の結晶です。
▶より詳しい裁断や木型の説明は「織物傘の組み立て vol.1 裁断」からご覧いただけます。
いかがでしたか?
初めて聞く名称も多かったかもしれませんが、傘の名称や役割、取り扱い方法がわかると、お使いの傘がより特別な1本になるかと思います。修理をはじめとした、お問い合わせの際にもスムーズになりますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
▶修理については「ご購入後の傘の修理について」をご覧ください。
槙田商店の傘はデザイン性の高さが特徴的で、人気をいただいている理由のひとつでもあります。そのため、「傘の柄」表記ですと、「え」なのか「がら」なのかがわからない場合がございます。槙田商店では、通常「手元(てもと)」と呼んでおり、商品ページでも「手元」表記をしております。メールなどでのお問い合わせの際には、「手元」や「持ち手」「ハンドル」などとお伝えいただけますと、スムーズなご案内が可能です。
▶傘の製造工程についての連載「織物傘の組み立て」も、ぜひ併せてご覧ください。
①親骨・受骨・ダボ
「親骨(おやぼね)」とは、傘生地に添った長い骨を指します。傘のサイズ感を見るときに参考にする箇所でもあります。一般的な折りたたみ傘では、親骨の折り曲げる部分を境に、外側を「先親骨(さきおやぼね)」、内側を「元親骨(もとおやぼね)」といいます。「受骨(うけぼね)」とは、下ろくろから親骨の向かって支える形の短い骨を指します。この2種類の骨が接している部位を「ダボ」といい、ここに使用される布は一般的に「ダボ包み」と呼ばれることが多いそうです。この布は傘に張られている生地と、骨の間に入ることによって、クッションのような役割を果たします。この小さなパーツも、実は職人たちの手作り。その様子は、傘作りを紹介したコラム「織物傘の組み立てvol.7特別篇~キズコマと付属~」からご覧いただけます。
②柄(手元/ハンドル)
みなさんは「傘の柄」を、なんと読みますか?「かさの“え”」あるいは「かさの“がら”」と読む人が多いのではないでしょうか。「え」には、手で持つために付けた細長い部分、棒状の部分という意味があるそうです。「かさの“え”」というときには、持ち手のことを指しますので、まさにその通りですね。「がら」の場合は、もちろん模様を意味しています。
この持ち手部分には、ほかにも「持ち手」「手元(てもと)」「ハンドル」など、様々な呼び方があります。通常、槙田商店では、「手元」と呼んでおりますが、「柄(え)」と呼ぶ方も多くいらっしゃると思います。そのため、このページでは「傘の柄(え)」と表記し、「がら=デザイン」としてご説明させていただきます。
1.柄の種類
柄は、その傘のイメージやコンセプトに合わせて選んでいます。大きく、木製、合皮、寒竹(かんちく)などに分類されます。【木製の柄】 みなさんが「傘の柄」としてまず思い浮かべるのは、木製のものではないでしょうか。代表的なのが「もみじ」「カエデ」です。この2つは同じ部類の木材なのですが、その特徴は何といっても木肌の美しさです。木目が目立たず、色合いも白いので、よりなめらかな印象に◎。槙田商店でも多くの傘で使用しており、生地の色合いをそっと引き立ててくれます。
左の「1866(イチハチロクロク)」の柄はもみじから、右の「菜-sai-」はカエデから作られています。いずれも、シリーズのコンセプトに合わせた、槙田商店オリジナルの傘の柄です。
1866は、内側にも生地を張り、傘骨が見えないようにする「蛙張り(かわずばり)」という伝統技法が用いられています。槙田商店の創業年の名を冠した、上品かつ特別な高級傘となっています。それに相応しい傘の柄にするべく、長さのある、すらっとした美しいフォルムに。傘生地とのバランスを考え、カラーも黒とそのままの色合いの2色あり、“貴婦人の立ち姿”をイメージして作られています。
菜は、野菜をモチーフに作られた日傘です。こちらは、野菜の収穫に欠かせない、農具たちをイメージしています。やさしい色合いと滑らかなフォルムのなかで、より農具らしさを加える紐がアクセントとなり、全体の統一感アップに繋がっています。
「ブナ合板」も強度が高く、多く使用している素材のひとつ。こちらも木目が綺麗に見える素材です。木製の場合は、そのままの色合いで使用したり、傘のイメージによっては黒系や茶系に染めたりすることもあります。いずれも、木の持つあたたかみを感じることができます。経年変化による色合いの変化も、ぜひお楽しみください。 同じブナ合板からできた傘の柄ですが、婦人傘と紳士傘での大きさの違いや、色の違いわかりやすいですね。左の紳士傘「MAKITA STANDARD」は、シンプルながら重厚感や上質さを味わえる傘となっており、こげ茶色の傘の柄は、その印象に寄り添いながら、全体の上品さを底上げしてくれます。右の婦人傘「Riff」は、すっきりとした鮮やかな色合いと内側に広がるストライプが特徴的で、木目の綺麗なやさしい雰囲気の柄を使うことで、傘生地の美しさを引き立ててくれます。
【寒竹の柄】 寒竹の柄は、織物の傘が持つ高級感やおしゃれさを、よりいっそう引き立ててくれます。天然素材なので、太さなど個体差がありますが、それもひとつの味としてぜひお楽しみください。寒竹も、使うなかで経年変化し、その色合いを変えていきますので、いっそう“自分だけの特別な傘”となってくれることでしょう。
槙田商店を代表する人気シリーズのひとつ「kirie」には、寒竹を採用しました。クラシカルな雰囲気も併せ持つ寒竹は、バリエーションの豊富な「kirie」との相性も抜群です。どのデザインやカラーにも馴染み、傘生地との相乗効果を発揮します。また、寒竹で揃えた石突(いしづき/地面に接する先端の部位)もこだわりポイント。より優美な印象を与えてくれます。
【合皮の柄】 合皮は、そのバリエーションの豊富さが特徴です。鮮やかな単色のものや、デザイン性のあるもの、タッセル(房)付きのものなど、実はさまざまなタイプがあります。色合いが豊かなので、その分、傘生地とのバランスやイメージを大切にしています。均一に巻かれた合皮は手馴染みがよく、品質の高さを感じていただけます。アクセントの役割や、高級感や統一感を高める効果なども発揮してくれます。
【生地巻きの柄】 オリジナルの傘の柄の中でも、特に“槙田商店ならでは”を感じられるのが「絵おり 桜」です。傘に広がる可憐な桜たちが魅力的な婦人傘。この傘の柄には、小さな桜が織り描かれた傘生地を使用しています。美しく巻かれた桜の生地は、高級感、特別感をいっそう高めながら、職人たちの技やこだわりも味わうことができます。
2.傘の柄を長持ちさせる方法
【使用後の注意・保管方法】雨傘として使用後は、日陰に干してよく乾かしてください。保管するときには、直射日光や高温になる場所(特に夏場の車内)を避けてください。湿気が残った状態、直射日光や高温などの状況下は、劣化や破損に繋がってしまうのでご注意ください。これらの保管方法や注意点はどの素材であっても、基本的には共通です。
その中でも「寒竹」「籐」は、伸びやすい(もとの形にも戻ろうとする)ので、しっかりと乾かしてくださいね。また、玄関先の靴箱に引っかけておく、という方も多くいらっしゃるかもしれません。これも伸びてしまう原因になるので、注意が必要です。気になる方は、紐などでくくっておくと、比較的伸びにくくなりますよ。
【セロファンについて】 傘の柄についているセロファンは、剥がしてください。これは、配送時などのキズ防止のために巻かれております。そのままの状態でお使いになると、セロファンの内側に湿気がたまり、カビの発生など、劣化に繋がります。素材の手触りなどを味わっていただくためにも、ぜひ剥がしてお使いください。
③露先・玉留め・口金
「露先(つゆさき)」とは、雨露が傘骨に沿って流れ落ちていく、先端部分のこと指します。長傘の場合は一般的に先端の金属パーツ、折りたたみ傘の場合には骨と一体型のことが多いので、雨が流れ落ちる骨の先端部位を「露先」と呼びます。「玉留め(たまどめ)」とは、露先をまとめるためのパーツです。主に紳士傘の手元に付いている金具のことで、上下に動きます。傘を閉じた状態で、玉留めに露先を入れると、一時的に傘をまとめることができる便利なパーツです。もともと上下に動く仕様ですので、ご安心してお使いください。
玉留めに対し、同じ位置にある金属パーツで、手元に固定されているものは「口金(くちがね)」といいます。こちらは婦人傘や、折りたたみ傘に付いている場合が多いです。傘のデザインのアクセントや、おしゃれとして、ぜひお楽しみくださいね。
▶傘の柄の取り付け方紹介コラムもぜひ併せてご覧ください。
④中棒
「中棒(なかぼう)」の素材には、おおまかに木棒と金属棒の2種類があり、その傘の雰囲気やイメージに合わせて選ばれています。折たたみ傘や、中棒がスライドするショート傘(スライドショート傘)では、傘の構造上、スライド部分に空間があります。ぐらつきや接触音を感じることがあるかもしれませんが、故障ではありませんので、ご安心ください。まれにキズ防止のため、セロハンテープが貼られているものがあります。その場合は、剥がさずにお使いいただくことを推奨しています。⑤ろくろ
「ろくろ」は、傘骨をまとめるためのパーツをいいます。ろくろの中にも「上(うわ)ろくろ」と「下(した)ろくろ」があり、「上ろくろ」は親骨を、「下ろくろ」は受骨をそれぞれまとめる役割があります。手を触れる下ろくろは、安全に使っていただくため、“安全ろくろ”や“ろくろ巻”といった布が施されています。最近では、安全ろくろ付きの傘も多く見かけます。これは、傘の開閉時に、指を挟まないようにするための部品です。押したままだと開きが留まらないので、傘を開くときには、写真のように指をずらして開くようにしてください。閉じるときも、押し続けないようにしてくださいね。
⑥はじき
中棒(の溝)に組み込まれた金属パーツを指します。はじきにも「上(うわ)はじき」と「下(した)はじき」があります。上はじきは、傘が開いた状態のまま、下はじきは傘が閉じた状態のまま、キープする役割があります。はじきはその位置によって、名称が分かれます。長傘の場合は、「上はじき」「下はじき」。折りたたみ傘の場合は、「上はじき」「中(なか)はじき」と呼んでいます。安全ろくろなしの手開きの傘は、閉じるときに指を挟まない心配ですよね。挟む原因となるのが「上はじきだけを押す」ことです。片方の手の親指と人差し指で、下ろくろを少し持ち上げ、中指の腹で上はじきを押します。そのまま、持ち上げていたろくろを下にスライドさせて閉じます。そうすると、指を挟まずに閉じることができますので、安全ろくろがない手開きの傘をお使いの方は、ぜひお試しください。
⑦石突き・突先
「石突き(いしづき)」とは、地面に接する、傘の先端のことをいい、中棒のカバーのような役割を持っています。写真とともにご説明していきます。みなさんがイメージする傘の先端部分はAの木棒+金属かと思います。この先端側の金属部位が「石突き」になります。また、木棒の部分は「突先(とっさき)」と呼んでいます。Bも同様に、先端の金色の部分が石突き、黒い部分が突先になります。Cの寒竹は、このパーツのみで完結しているため、これを石突きとしています。
注意点として、使用後に水滴を切る際は、石突きを地面などに打ち付けないでください。ついつい、やってしまいがちですが、これは破損の原因になってしまいます。同じ理由で、杖代わりの使用もご遠慮ください。雨水を切るときは、下ろくろを持ち、軽く上下させて水滴を弾いてください。
一部の折りたたみ傘では、石突きがネジ式のタイプがあります。定期的に締め直していただけると、紛失防止にもなります。もしも紛失などしてしまった場合、石突きのみのパーツ購入が可能です。在庫状況によって、同じ石突きでない可能性がございますので、予めご了承ください。長傘の場合は、石突きと突先(中棒)が一体型になっているものが多いため、取り替えが必要となります。いずれの場合にも、紛失・破損の際にはお気軽にご連絡ください。
⑧天紙・菊座・陣笠
傘を差したとき、頭の上に来る「天紙(てんがみ)」。フチがギザギザしていて、特徴的な形をしていますよね。天紙は内側からあてられており、ダボ包みと同じく、骨と生地の間に入ることで、ダメージ軽減の役割を果たしています。一方「菊座(きくざ)」は、外側から当てられた、輪っか状の小さくかわいらしい布パーツを指します。まず、菊座を突先(とっさき)に嵌め、そこに防水キャップと「陣笠(じんがさ)」という金属パーツを被せます。菊座はクッションの役割を果たし、陣笠は雨の侵入をブロックしてくれます。
もしも雨漏りをしてしまったら、各パーツの損傷などが考えられますので、修理をご依頼ください。
▶詳しくは「ご購入後の傘の修理について」をご覧ください。
▶より詳しい陣笠の付け方は「織物傘の組み立て vol.6 仕上げ」、天紙・菊座などの作り方は「織物傘の組み立て vol.7 特別篇~キズコマと付属~」からご覧いただけます。
⑨ネーム
傘の生地をまとめるバンド(紐)のことを、主に「ネーム」や「ネームバンド」と呼びます。このネームには、傘生地をまとめる「胴ネーム」と、露先をまとめる「くちネーム」があります。濡れた傘をあまり触らず、一時的に閉じたいという方は、くちネームがある傘だと便利ですね。それぞれの傘のサイズに合わせ、収まり良く閉じられるように、長さやボタンの位置を計算して、職人たちが1本ずつ手作りしています。⑩タッセル(房)
手元についている房は「タッセル」と呼びます。手元を握ったときの滑り止めにもなりますし、高級感や特別感も演出してくれます。なお、タッセルは接着剤などによる固定がされていませんので、定期的に締めていただけると形状をキープできます。ズレが気になる場合には、表面から目立たない部分に接着剤を付け、固定する方法もあります。反対に、タッセルが不要の方は、外してしまっても良いと思います。一部の傘の柄には、タッセルを通す穴がある場合もありますが、基本的にはそれぞれのお好みに合わせてお使いいただければと思います。在庫があれば、タッセルの購入も可能です。
⑪小間(コマ)
親骨と親骨の間に使われている生地は、三角形をしており、この生地を「小間(コマ)」とよびます。コマは、生地に専用の木型を当て、革用の包丁で裁断して作りだされます。一般的な傘(8本骨)なら、コマは8枚、16間傘なら16枚必要となります。この裁断作業で、最も重要なのが、木型になります。その傘に合ったコマを作るためには、それぞれに合った木型が必要になるからです。骨の長さや本数が違えば、当然違う三角形(コマ)になりますよね。さらに、例え同じ骨の長さ、本数の傘であったとしても、使う生地によって伸縮性などそれぞれに個性があります。これらを考慮したうえで、職人たちは木型を使い分けています。この木型も先代職人たちの手作り。まさに経験と努力の結晶です。
▶より詳しい裁断や木型の説明は「織物傘の組み立て vol.1 裁断」からご覧いただけます。
⑫傘袋
折りたたみ傘などに付属している、収納袋を指します。もしも紛失してしまったら、傘袋のみの販売も承っておりますので、お気軽にご連絡ください。なお、槙田商店の現行商品で、もともと傘袋が付いているものが対象となります。いかがでしたか?
初めて聞く名称も多かったかもしれませんが、傘の名称や役割、取り扱い方法がわかると、お使いの傘がより特別な1本になるかと思います。修理をはじめとした、お問い合わせの際にもスムーズになりますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
▶修理については「ご購入後の傘の修理について」をご覧ください。
槙田商店の傘はデザイン性の高さが特徴的で、人気をいただいている理由のひとつでもあります。そのため、「傘の柄」表記ですと、「え」なのか「がら」なのかがわからない場合がございます。槙田商店では、通常「手元(てもと)」と呼んでおり、商品ページでも「手元」表記をしております。メールなどでのお問い合わせの際には、「手元」や「持ち手」「ハンドル」などとお伝えいただけますと、スムーズなご案内が可能です。
▶傘の製造工程についての連載「織物傘の組み立て」も、ぜひ併せてご覧ください。
執筆者
槇田洋一
(株)槙田商店の6代目。横浜国立大学で経済学を学び、卒業後は修行を兼ねて社会経験を積む。2009年に槙田商店に入社し、自社ブランド「槇田商店」を立案。男性のための傘「MAKITA STANDARD」を産地の職人と共に企画するなど、産地の魅力を届ける製品開発を手掛けながら、産地を守る活動に勤しむ。