織物傘の組み立て vol.1 裁断

 

槇田商店は織物の製造から傘の組み立てまでを一貫して行う世界で唯一の織物工場です。傘を手掛け始めた昭和30年頃から、今日まで作り続けてきました。傘作りの話をするとき「作り方を初めて知った」「手作りとは思わなかった」との声を多く聞きます。

そこで、織物から傘が出来上がるまでを工程ごとにご紹介していきます!


傘は、織り上がった織物に、防水・撥水加工を始めとした加工などを施します。そうして出来上がった生地は、裁断・透き見(すきみ)・中縫い・紐付け・中綴じ・仕上げの工程を経て傘になります。傘にするために初めに行う組立て工程が「裁断」です。機械ではなく、職人の手作業で行われています。初回は「裁断」についてご紹介致します。

傘の骨と骨の間に使われている織物は、三角形をしています。この三角形の生地は「小間(コマ)」と呼びます。裁断作業には、この小間の形をした木型と、革用の包丁を用います。


道具にも表れる職人のこだわり
まずは裁断に使う道具の説明からご紹介させていただきます。

この写真のように、槇田商店には多くの木型が存在します。理由は、その傘に合った小間にするためです。骨の長さや本数が違うと、当然それぞれ小間の形も違いますよね。さらに、例え同じ骨の長さ・本数の傘であったとしても、使う生地にも伸縮性などそれぞれの個性があります。これらを考慮した上で、その傘に合った木型を職人のカンで使い分けているのです。この木型も、先代の職人の手作り。今もなお、試行錯誤を繰り返し、改良を重ねています。

生地の裁断には革用の包丁を使います。実際の作業では、生地を4枚重ねて行います。厚みのある生地の裁断には、これが適しているわけですね。そしてこの写真で注目してほしいのが、刃の長さです。右の包丁の刃に対して、他の2本は短いことがわかります。これは、使っている中で、切れ味を保つために刃を研ぎ続けた結果です。それほど多くの裁断作業を行ってきた包丁、という証でもあります。切れ味を保つために、112回研ぐそうです。このひと手間があるからこそ、きれいな仕上がりとスピード感を持っての作業が可能になります。


高い技術と集中力による正確な裁断

作業中に気にかけていることは、「型通り裁断すること」そして「裁ち直しをしないこと」だそうです。ごく当然のことに思えますが、裁断作業においては非常に重要なポイントです。傘の仕上がりは「裁断」と、その後に行う「縫い」によって決まります。たとえ12㎜の差でも、その仕上がりは大きく異なります。「縫い」の指示を出すのも、裁断する職人の大切な仕事のひとつです。生地の個性を掴むこと、型の位置、刃の角度など——。手作業だからこその繊細な微調整が、傘の美しい仕上がりを支えています。

 

いかがだったでしょうか。傘ができるまでには、実に多くの工程と人の手が必要です。私達が丹精込めて1本ずつ作り上げた傘がどのように生み出されているかを丁寧にお伝えすることで、みなさんが手にしてくださった傘を特別な気持ちで大切にお使いいただければ嬉しいです。初回は「裁断」についてご紹介しました。次回は「透き見」についてご紹介していきます。ぜひお楽しみに!