槇田商店の傘が生まれるまで
繊細な模様や大胆な絵柄を織り上げるジャカード織物
1866年創業。富士の麓・山梨県で、江戸末期より伝統織物の技術を継承しています。傘で使われている生地は、すべて自社工場や地域の提携先工場など、山梨県内で織り上げた織物です。傘生地の裁断、縫製、金具の取付まで全ての工程を一貫生産しています。
富士山の雪解け水で鮮やかに染められた糸
織物で使う糸は、富士山の天然水で染めています。富士山に降った雨や雪が地中深く浸みこみ、長い時間をかけて濾過されます。硬度も低く染色を邪魔する物質が少ないため、色鮮やかな染色ができると言われています。
素材と向き合うことで生み出す世界最高峰の傘
タテ糸とヨコ糸を別々に染め分けて織り上げる先染めジャカードは、織り生地ならではの奥行きと質感が美しい柄を織り上げます。昭和天皇の大喪の礼の際に上皇陛下がお使いになられていた傘にも槇田商店の織り生地が使用されました。
繊細な模様も大胆な絵柄も生み出す極細の糸
国内でも数少ない140cm幅の大口電子ジャカードで、自由に柄を織ることができます。糸一本一本が描く凹凸と色柄は全て社内のテキスタイルデザイナーが組織し、世界のトップブランドからも支持されています。
機能をもたらす後加工
槇田商店の傘生地には、雨の浸透や水漏れを防ぐ防水コーティングや、水を弾く撥水加工が施されています。傘の用途に合わせて、紫外線をカットするUV加工や、太陽光の暑さが感じにくくなる遮熱加工も施しています。
正確で無駄のない裁断
傘は、木型を使って裁断した『小間(コマ)』と呼ばれる三角形の生地を複数縫い合わせて作り上げます。木型は傘の骨の数やサイズ、生地の伸縮性などに合わせて使い分け、丁寧に手作業で裁断していきます。
キズを見逃さない透見(すきみ)
裁断されたコマに、織りキズや汚れなどが無いか上からも光を当て検品し、下から光を当てて透かして1枚1枚検品します。傘は広げて使用した際に、外側からも内側からも人の目に触れるため、念入りに検品しています。
コマを縫い合わせる中縫い(なかぬい)
上糸のみの特殊なミシンを使ってコマを縫い合わせます。上糸のみのミシンを使うことで、縫い目に伸縮性がでるため、傘を開いた際に美しいシルエットが表れます。縫い合わせた生地は、露先を縫い付ける口とじを行います。
1ヶ所1ヶ所丁寧に中綴じ(なかとじ)
ミシンで縫い合わせた生地と傘の骨とを一体化させるために、1カ所ずつ丁寧に縫い付けます。撥水効果のある蝋引きをした糸を2重にして更に撚りを加えた、強度と撥水効果のある糸を使用しています。
一本一本手作業で手元付け
中綴じが終わり、傘に必要なパーツがつけられ、生地にアイロンがけをした後に、長傘は1本1本手元をボンドで接着していきます。緩すぎず、きつすぎず、慎重に手付けをしていきます。
『傘』という字
傘という字は、一つの屋根の下に、沢山の人が土台の上に集まって表されています。生地作りでも、傘作りでも、デザイナーや糸づくり、染色の職人さん、機屋さん、傘職人と、沢山の人達が関わっています。まさに「傘」の字のごとく、沢山の人の手を介して一本の傘が仕立て上げられています。槇田商店という屋根の下で、「人」を大事にした傘作りを、しっかりとこれからも続けていきます。
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