織物傘の組み立て vol.2 透き見
槙田商店は、織物の製造から傘の組み立てまでを一貫して行う、世界で唯一の織物工場です。傘を手掛け始めた昭和30年頃から、今日まで作り続けてきました。傘作りの話をするとき「作り方を初めて知った」「手作りとは思わなかった」とのお声を多く耳にします。
そこで、織物から傘が出来上がるまでを工程ごとにご紹介していきます!
傘は、織り上がった織物に、防水・撥水加工を始めとした加工などを施します。そうして出来上がった生地は、裁断・透き見(すきみ)・中縫い・紐付け・中綴じ・仕上げの工程を経て傘になります。裁断された小間(コマ・三角の生地)を、傷や汚れがないか、1枚1枚目視で確認していきます。この確認作業を「透き見(すきみ)」と言います。今回は「透き見」についてご紹介致します。
シンプルな作業だからこそ大切な「丁寧さ」
私たちの言う「透き見」とは、裁断した小間(三角の生地)に傷や汚れがないか確認すること、文字通り「透かして見る」ことを指します。この作業は裁断とセットで行われるため、裁断した職人が、その小間の透き見も担当します。
透き見は専用の作業台の上で行います。まず、下からの光で透かして確認をします。これが「透き見」と呼ばれる所以です。続いて黒い台紙に載せ、今度は上からの光で確認します。柄などにより見にくい生地の場合は、平面的に見るだけでなく、角度や向きを変えて立体的に確認をしていきます。
心掛けていることは、「丁寧さ」です。小さな傷や汚れだと、その大きさはわずか数ミリほど。このわずかな傷や汚れを見逃さないために、集中力を切らさぬよう気を付けて作業をします。
糸くずなど、すぐ取れるようなものはガムテープで取っていきます。そのため、作業がしやすいように、胸元にガムテープを貼っている職人も。こんな風景が見られるのも、生地屋ならではですね。
実は、初期の頃は、何十枚もの小間を一度すべて下からの光で透かして確認し、それが終わったら上からの光で確認、と別々の作業として行っていました。毎日の作業の中で、効率化を目指し、今の一連の流れが生まれました。それによって、1枚あたりに掛けられる時間が増え、より丁寧な確認ができるようになったと言います。また、透き見をしていて、傷が多いと感じる生地は、念のため再度、確認作業を行います。2回目は場所を変え、傷の様子によっては見方も変えて確認します。
こうした作業の中で、残念ながら傘にできない小間が出てしまいます。これを「傷小間(キズコマ)」と呼びます。しかし、このキズコマも傘を作り上げる上では大切な役割を果たします。(この話はvol.4 紐付けにて)
いかがだったでしょうか。傘ができるまでには、実に多くの工程と人の手が必要です。
私達が丹精込めて1本ずつ作り上げた傘がどのように生み出されているかを丁寧にお伝えすることで、みなさんが手にしてくださった傘を特別な気持ちで大切にお使いいただければ嬉しいです。第2回は「透き見」についてご紹介しました。次回は「中縫い」についてご紹介していきます。ぜひお楽しみに!
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