織物傘の組み立て vol.7 特別篇~キズコマと付属~

槇田商店は織物の製造から傘の組み立てまでを一貫して行う世界で唯一の織物工場です。傘を手掛け始めた昭和30年頃から、今日まで作り続けてきました。傘作りの話をするとき「作り方を初めて知った」「手作りとは思わなかった」とのお声を多く耳にします。

そこで、織物から傘が出来上がるまでを工程ごとにご紹介していきます!

傘は、織り上がった織物に、防水・撥水加工を始めとした加工などを施します。そうして出来上がった生地は、裁断・透き見(すきみ)・中縫い・紐付け・中綴じ・仕上げの工程を経て傘になります。第1回~第6回で、各工程をご紹介しています。

以前(「vol.4 紐付け」)、傘を留める紐は傷や汚れがないかを確認する「透き見」で、残念ながら傘にできないと判断された「傷小間(キズコマ)」から出来ていることをご紹介しました。「キズコマ」というと、少しマイナスな印象を持たれるかもしれませんが、傷や汚れの範囲はわずかなことが多く、それ以外の部分は美しい生地そのものです。こうした生地をなるべく無駄にしないためにも、キズコマは、傘を留める紐をはじめとした「付属」と呼ばれるパーツに生まれ変わります。

第7回となる今回は、特別篇として、これまで紹介しきれなかった「キズコマと付属」についてご紹介致します。

まず、キズコマが生まれ変わるパーツとしては主に「紐(ネームバンド)」「菊座」「天紙(てんがみ)」「ダボ」などがあります。どこに使われているものかは以下の画像をご覧ください。

「付属」は、傘に張られている生地と傘骨の間に入ることで、クッションのような役割を果たします。付属が、生地と傘骨の双方を守ってくれるので、傘全体としての見た目も美しく保ちながら、傷や摩擦といったダメージを軽減してくれる大切なパーツです。

まず、多くの方が目にする「天紙」と「ダボ」が作られる様子をご紹介します。

「天紙」を作る際は、正方形にカットされたキズコマを使用します。数十枚を重ね、ズレ防止のため糸で仮止めて1セットにしたものを、専用の型の下に置き、その上に木製の厚みのある蓋状の道具を重ねます。これを木槌で叩くことで、くり抜かれた生地が「天紙」となります。その後、傘骨を通すための穴を中心に開けます。これも専用の型があり、木槌で叩いてくり抜いていきます。天紙用の型も何種類かあり、傘の大きさに合わせて使い分けます。

「ダボ」も天紙と同じように、専用の型と木槌を使い、くり抜いて作ります。サイズは2種類あり、楕円形が通常サイズ、ギザギザしている方が小さめサイズです。小さめサイズは主に、16間(ケン)などの多間(タケン/骨の数が多いもの)の傘に用いられます。骨の本数が多くなれば、それだけ「ダボ」の数も増えます。通常サイズだと邪魔になってしまうので、小さめサイズを使用します。ちなみに「ダボ」とは親骨と受骨が接している部分のことを指し、ここに使われる生地は一般的に「ダボ包み」と呼ばれることが多いようです。私たちは普段「ダボ」と呼んでいるので、今回はあえて「ダボ」と表現しています。

「ダボ」の型をよく見ると、内側に彫刻刀のような刃があります。これは傘骨を通すための、切れ込みを入れるための刃です。型を木槌で叩いてくり抜くのと同時に、切れ込みが入るようになっているので、効率的に作ることができます。

「天紙」や「ダボ」を取り付けるときは、生地の裏表に注意します。傘生地の場合、色柄だけでなく、どちらの面に撥水等の加工を施しているかも大切なポイントになります。そのため、どれだけ小さいパーツや目立たないパーツであっても、職人たちはこの配慮を怠りません。

「菊座」は前回の「vol.6 仕上げ」で少し触れた、円形の小さくかわいらしいパーツです。もとは長方形にカットされたキズコマを使って作ります。このときも生地の裏表を確認します。表面を内側にして短辺を綴じ、輪っか状にします。生地の表面が外側に出るようにひっくり返して、半分に畳んでいきます。そうすることで、表面のみが見える太さ半分の輪ができるので、開いている方を縫って閉じていきます。このときにできる中心円の大きさは、傘骨の太さに合わせて糸を絞って調節します。槇田商店では菊座も手縫いで作っています。


「紐」については、「vol.4 紐付け」でご紹介していますので、是非そちらのコラムをご覧ください。



いかがだったでしょうか。傘ができるまでには、実に多くの工程と人の手が必要です。

私達が丹精込めて1本ずつ作り上げた傘がどのように生み出されているかを丁寧にお伝えすることで、みなさんが手にしてくださった傘を特別な気持ちで大切にお使いいただければ嬉しいです。今回は「キズコマと付属」についてご紹介しました。


第7回に渡るコラムをここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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