傘の意味とは?傘の語源や漢字の成り立ちとともにご紹介

普段、何気なく使っている「傘」ですが、その意味や語源、漢字の成り立ちなどはご存知ですか?いざ言われてみると、分からないという方も多いのでは。今回は、傘の歴史も簡単に触れながら、傘の意味や語源などについてご紹介します。




傘の意味と傘の歴史について

傘が描かれてる資料

傘の意味ということで、まずは文字通り、辞書的な意味合いを見ていきましょう。
調べてみると、雨や日光を防ぐために頭上にかざすもの、といった説明が出てきます。特に「傘」と書く場合は、直接頭にかぶる「笠」と区別されます。

また、傘の歴史を踏まえると、この記事がよりわかりやすくなりますので、ここで簡単にご紹介します。
傘の起源はおよそ4,000年前まで遡り、古代ギリシャなどで生まれました。当時は開閉機能や防水性はなく、日よけ=日傘としてのみ使用されていました。
日本においては、6世紀半ばの仏教伝来の際、仏具の「傘」が伝来したと記録が残されています。平安時代には、和傘が発展。その後、19世紀には貿易によって「洋傘」が渡来し、ここから徐々に普及していきました。この間も、少しずつ進化が進み、今日まで繋がっています。

 

傘の語源は?

小紋トンボ傘赤では、「傘」という言葉の語源は一体何でしょうか?
英語で雨傘を指す「umbrella」、日傘を指す「parasol」。この語源はラテン語にあります。
まずアンブレラの方は、影(shadow)や陰(shade)を意味するラテン語「umbra」が語源といわれています。今では雨傘を意味していますが、傘が誕生した当初は日よけを目的としたため、その流れを知っていると納得ですね。パラソルは、「para(~を遮る)」+「sol(太陽)」が組み合わさった言葉とされています。太陽を遮る=日よけ、となりこちらもぴったりの由来です。



「傘」の漢字の成り立ちは?

辞書と虫眼鏡私たちに馴染みが深い漢字の「傘」についても、成り立ちなどを見ていきましょう!
まず、漢字のルーツである中国では、もともと糸偏に散ると書く「繖」という字が使われていました。後漢(25~220年)の時代で、今から約1800年以上前のことです。当時は、「糸」で編んだ布製の傘が使われ、その傘が雨を「散らす」様子を表したものといわれています。読み方は「散」と同じく「サン」で、「傘」の音読みはここに由来するそう。

「傘」という漢字をパーツごとに分けてみると、「𠆢」や「十」は傘生地や中棒を表現していることが見て取れます。そこで気になるのが、4つの「人」。これは、流れ落ちる雨粒、傘の模様やしわ、傘の下に集まる人々、など諸説あります。なかでも有力なのは、傘骨を表現したという説で、傘を差したときに見える親骨や受骨ではないかと考えられています。

みなさんはどの説に共感したでしょうか。「傘の柄など傘の部位の名称を解説」では、傘の各パーツの名称や役割などをご紹介しています。親骨や受骨についても解説しておりますので、ぜひご覧ください。

晴雨兼用傘kirieバラまた、傘の形という意味では、差し開いたときの姿から、古来より“末広がりの縁起物“とされてきました。お相手やプレゼントのシーン別に、おすすめの傘をご提案した「プレゼントに最適!実用的でおしゃれな傘の贈り物」も公開中ですので、ぜひご活用くださいね!



槙田商店が考える「傘」という字の意味

前項では、歴史を踏まえた漢字の「傘」の成り立ちをご紹介しました。傘の形そのものを表現した漢字であることはもちろんですが、私たち槙田商店が考える「傘」の意味をお伝えしたいと思います。

傘という字は、ひとつの屋根「𠆢」の下に、たくさんの「人」が土台「十」の上に集まった様子であると考えています。生地作りと傘作り、それぞれにデザイナーや糸商、染色屋、機屋、傘職人と、実にたくさんの人たちが関わっています。多くの人々の手を介して、ようやく1本の傘が仕立て上げられます。槙田商店という屋根の下で、関わる「人」たちを大切にした傘作りを、これからも続けていきます。
傘製造の作業風景槙田商店では、傘ができるまでの流れがわかる「槇田商店の傘が生まれるまで」や、工程ごとに詳しくご紹介したコラムシリーズ「作り手のこだわり」を公開中です。

今回は、傘の意味について、簡単な歴史的背景とともにご紹介してきました。言葉の語源や漢字の成り立ちを辿ってみると、当時の様子を伺い知ることができるのと同時に、今の私たちにまで繋がっていることがわかりますね。

こうした背景を知ると、普段何気なく使っている傘に対して、より大切にしたい気持ちになりませんか?槙田商店の傘は、良いものを長く大切に使いたいという方からもお求めいただいております。また、自社製の傘を対象に、職人による修理も承っておりますので、アフターフォローもお任せください。長く大切に使いたくなる傘との出会いをお手伝いできればと思いますので、各一覧もぜひご活用くださいませ。

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執筆者

槇田洋一

(株)槙田商店の6代目。横浜国立大学で経済学を学び、卒業後は修行を兼ねて社会経験を積む。2009年に槙田商店に入社し、自社ブランド「槇田商店」を立案。男性のための傘「MAKITA STANDARD」を産地の職人と共に企画するなど、産地の魅力を届ける製品開発を手掛けながら、産地を守る活動に勤しむ。